平成15年5月15日号掲載分

◎ 泌尿器系の疾患発生率が増加 定期検診で早期発見・治療を  (田口恵造)

 近年、高齢化に伴い、泌尿器科疾患では前立腺がんの罹(り)患率と死亡率の増加が今後予想されます。
 増加の理由は年齢だけではなく、肉食を中心とした食生活の欧米化と診断の向上によると考えられています。
 昨年末には天皇陛下が前立腺がんの診断を受けられ、診断には前立腺特異抗原(PSA)という検査が大きく寄与しています。
 前立腺がんの場合は、ほとんど自覚症状がなく、発見時すでに進行していた例が多かったのですが、PSAにより早期診断が可能となり、治癒(ゆ)率も向上してきました。
 治療は手術治療や放射線治療、抗男性ホルモン療法が一般的で、新しい治療としては重粒子線や小線源治療、遺伝子治療などが試みられています。
 そのほか、前立腺肥大症があり、四十歳頃に始まるとされ、十年以上の経過を経て症状が出てきます。ただ、排尿の異常は膀胱(ぼうこう)尿道機能に関連しているため、排尿障害が「前立腺肥大」とは言い切れません。
 予防には、野菜や果物を多く摂ることにより、血中のエストロゲンが増え、前立腺の肥大を抑えるという学説があります。現在、治療法は薬物療法、手術療法があります。
 加齢により泌尿器科悪性腫瘍(しゅよう)の発生も増加しますので、年に一回の検診やドッグ受診を勧めます。


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