福島県立大野病院事件についての声明文公表にあたって

平成19年4月

                              社団法人川西市医師会

 福島県立大野病院で平成16年12月17日に帝王切開を受けられた女性の死亡に関して、 手術を担当した医師が平成18年3月10日に業務上過失致死および異状死届出義務違反 の罪で起訴されました。本件は癒着胎盤という稀有な症例で術前診断がきわめて難しく、 治療の難度が最も高く、対応が非常に困難な事例でありました。当会は本件の不幸な結果に関してはたいへん心を痛め、真摯に受け止めています。一方で担当医の医療行為について、個人が刑事責任を問われるに至ったことは非常に残念であるとともに、本件の重要性に鑑み、以下の声明文を公表する次第です。

 
福島県立大野病院、加藤克彦医師の逮捕について

声 明 文

 はじめに、亡くなられた患者さまならびにご遺族の方々に対し、心から哀悼の意を表します。

 平成16年12月17日に帝王切開中の大量出血により患者さまが亡くなられた件で平成18年2月18日大野病院、産婦人科医師の加藤克彦医師が業務上過失致死ならびに医師法違反の容疑で逮捕され、本年1月26日の第1回公判に至っています。

  このたび、患者さまの不幸な結果に対して、常に我々は真摯にこれを受け止めねばなりません。しかし今回のように限られた医療供給体制の中で、最善を尽くされた医療の結果に対して、刑事事件という形での取り扱いというのは到底納得できるものではありません。 今回の常軌を逸した不当な逮捕は周産期医療や救急医療に従事している医師の意欲を剥ぎ 不安に貶め、さらには医療全般にこの影響が波及し、重大な医療危機を招きかねないと危惧します。

  我々、川西市医師会は避け難い医療行為の不確実性ならびに地域医療の抱える制度的な問題をないがしろにして、全て医師個人の過失として押し付けた今回の逮捕に強く抗議するとともに、医学的考察に基づき正当な判断と対応がなされることを関係当局に切望します。
 

 


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