子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)

 子宮頸がんは、子宮頸部(子宮の入り口)にできるがんです。初期の段階では自覚症状がほとんどないため、しばしば発見が遅れてしまいます。がんが進行すると不正出血や性交時の出血などがみられます。子宮頸がんは若い世代に多いがんで20〜30代で急増しています。全世代では乳がんの次に多いがんですが、20〜30代のがんの中ではもっとも多く、日本では年間約15,000人の女性が発症していると報告されています。子宮頸がんは、ほとんどが発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因となって発症します。発がん性HPVは性行為により感染しますが、特別な人だけが感染するのではなく、多くの女性が一生のうちに一度は感染するごくありふれたウイルスです。発がん性HPVには、いくつかのタイプがあり、その中でもHPV16型、18型は子宮頸がんから多くみつかる発がん性HPVです。子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)は、特に子宮頸がんから多くみつかるHPV16型と18型の感染をほぼ100%防ぐ事ができます。

予防効果の持続時間

 臨床試験で6.4年間は十分な抗体価の持続が確認されています。また、推計学的には20年以上抗体価が持続するという報告があります。

接種後の症状

 HPVワクチンを接種した後に、注射した部分が腫れたり、痛むことがあります。このような痛みや腫れは、体内でウイルス感染に対して防御する仕組みが働くために起こりますが、通常は数日間程度で治まります。気になる症状があれば、医師にご相談ください。

HPVワクチンと子宮頸がん検診

 HPVワクチンは、HPV16型と18型の感染は予防しますが、すべての発がん性HPVの感染を予防できるわけではありません。また接種前に感染している発がん性HPVを排除したり、発症している子宮頸がんや前がん病変(がんになる前の異常な細胞)の進行を遅らせたり、治療することはできません。HPVワクチンを接種しても定期的に子宮頸がん検診を受けましよう。子宮頸がんは長期間かけて発症する病気であり、早期に発見すれば、がんになる前に治療が可能です。HPVワクチンの接種と検診で、子宮頸がんからより確実にあなたの体を守りましょう。