肺炎球菌感染症と小児肺炎球菌ワクチン(7価肺炎球菌結合型ワクチン)

 肺炎球菌は細菌による子どもの感染症の二大原因のひとつです。この菌は子どもの多くが鼻の奥に保菌していて、ときに細菌性髄膜炎、菌血症(血液の中に菌が入り込む状態)、肺炎、副鼻腔炎、中耳炎といった病気を引き起こします。とくに、肺炎球菌性髄膜炎は死亡例と重症後遺症(水頭症、難聴、精神発達遅滞など)が全体の約4割にもなり、とても怖い病気です。初期の主な症状は、髄膜炎もその前段階となる菌血症も発熱などでかぜ症状と区別がつきません。肺炎にかかりやすいのは生後3ヵ月から5歳くらいまでで、患者数は、細菌性髄膜炎が5歳未満の小児10万人当たり年間200人くらいといわれています。

小児用肺炎球菌ワクチンってどんなもの?

 子どもの命にかかわる重い病気を予防します。

【予防できる病気と効果】

 肺炎球菌のなかでも子どもで重い病気を起こしやすい7つの血清型による病気(髄膜炎や菌血症、重症肺炎)を予防します。この7つの型は薬が効きにくくなっているという特徴もあります。2000年から定期接種にしている米国では、ワクチン導入後に肺炎球菌による重い病気が98%減りました。また子どもの保菌が減りうつる機会が減ったことで、高齢者の肺炎球菌感染症が減ったという報告もあります。

【世界の使用状況】

 約100ヶ国で使われ、そのうち45ヶ国で定期接種されています。(2010年2月現在)WHO(世界保健機関)は、「このワクチンは定期接種へ優先的に組み入れられるべき」と接種を勧奨しています。わが国では平成22年2.月に任意接種が可能となりましたが、早期の定期接種化が望まれます。

【副反応】

 10年前に発売されて以来、世界中の子どもたちに接種されていますが、接種後の副反応はほかのワクチンとあまり変わりはありません。接種部位の発赤や腫れ、発熱、不機嫌、眠気などが主なものです。

【接種時期】

  生後2ヶ月から9歳以下までの子どもに接種できます。標準的には生後2ヶ月から4回接種します。標準的なスケジュールで接種しなかった場合は、初回接種時の年齢により接種間隔や回数が異なります。詳しくはかかりつけの小児科にご相談ください。